相続登記と言う言葉自体は知っていても、詳しい内容を知る機会はあまりありません。複雑で面倒な手続きがあることから、実際には司法書士などの専門家任せになってしまうことも多いようです。今回紹介する相続登記の流れや申請方法は、今まで経験した方から相続登記とは無縁の方まで、誰もが役立つ内容になっています。是非参考にしてみてはいかがでしょうか。

目次

相続登記とは

亡くなった方から大切な財産を受け継ぐ時に行う相続登記は、どのような内容なのでしょう。

名義変更手続きのこと

相続登記とは、不動産を遺産相続で受け継いだ場合に行う名義変更の手続きです。亡くなった方から新たな持ち主となる相続をする方の持ち物になったことを、書類上も正式に証明しておく必要があります。大切な財産を受け継いで守るためには欠かせない手続きで、相続によるトラブルを回避するためにも、早めに進めるのがおすすめです。

決められた期限はない

しかし相続登記は決められた期限がある訳ではありませんので、亡くなって受け継いだことをきっかけに名義を変える方もいますが、時が経過してから行う方も少なくありません。しかし相続税などの手続きを一緒に済ませてしまうことが多く、早く自分のものとして証明したいという新しい持ち主の気持ちも行動に現れるようです。

相続登記は自分でできる手続き?

相続登記は自分で進めることができる手続きですが、受け継ぐ不動産物件の数や内容によっては、専門家に任せた方が良い場合もあります。しかし無料で行ってもらえるわけではない専門家への依頼は、費用面が気になる方にとっては大きな出費です。また相続に関することや税金のことを勉強したいという考えがありますと、面倒でも自分で進めて経験や知識を増やすきっかけにもなります。

専門家へ頼むことで負担を軽減


もしも個人で手続きを行った場合に書類などに不備などがありますと、相続登記の手続きが上手く進まないなどのトラブルに発展します。そのような二度手間のリスクを心配するのであれば、司法書士などの相続や登記の専門家に任せてしまった方が安心です。費用は依頼先によって異なるようですが、お金を掛けた分だけ素早く正確に相続登記が進められます。

早めに済ませてしまうと楽になる

期限がないことで放置されやすい相続登記ですが、いつかやらなければいけない手続きであれば、早めに時間を設けて全て終わらせてしまうのも一つの方法です。始めるまでが面倒に感じることもありますが、自分で進めるケースと専門家に任せるケースのどちらが自分に合っているかを考えておくだけでも良いでしょう。

相続登記をしないと

相続登記は手続きに期限がないものですが、そのままにしておきますと様々な不都合が生じます。金額が大きな不動産物件ですので、少しの問題が大きなトラブルになりかねません。相続登記をしないことで、どのようなことが起こるのでしょう。

相続登記が困難

相続登記は、長期間放置しておくと相続人が増えてしまいますので、当然ですがその分相続登記が難しくなります。自分が相続をすることが決まった段階で早めに済ませておきますと、その時点での相続人による話し合いですので問題なく進められます。面倒が増える前に相続登記は済ませておくと安心です。

不動産が扱えない

相続登記をしていないということは、名義変更が行われていなということになり、所有者が亡くなった方のままということです。つまり持ち主がいない状態の不動産物件のような扱いになりますので、不動産の所有者として不動産を売却することや賃貸するなどのことが一切できないことになります。

家族や親族と遺産でケンカをしないコツ

相続登記をする前に一つ大きな問題として浮上するのが、家族や親族同士の遺産分割です。故人が遺言書を残している場合でもケンカになることは多く、遺言書がない場合には更にケンカになる可能性があります。中には初めから相続放棄をする方もいて、面倒な争いを回避することもできます。しかし普段から交流があるような家族や親族同士ですと、大きな問題にはならないケースが多いです。つまり遺産がある時だけ急に集まるような関係性ではなく、普段から親睦を深めておくことも重要です。

やるべきことは早めに済ませて円満な話し合いを!

スムーズに相続登記をするためには、持ち主となる遺産の分割をスムーズに進めることが求められます。自分の欲を明らかにして相続争いをするよりも、管理できる範囲で受け継いだ方が気持ちも楽になるはずです。周囲の意見を聞きながら話をする姿勢を身につけて、落ち着いた話し合いをしましょう。

専門家の良い選び方

相続登記をする場合は司法書士への依頼が良いですが、万が一相続で家族や親族と争いになっているような場合には、弁護士への相談がおすすめです。依頼内容によって頼む専門家が変わる相続や登記の場合は、自力での解決が難しいことも多くあります。豊富な知識や経験があるプロフェッショナルに依頼をして、困っている時にサポートしてもらうのがおすすめです。

相続登記の流れ

もしも相続登記をする場合は、どのような流れで進むのでしょう。いざという時に慌てないためにも、事前に流れや必要なものを把握しておくことは重要です。是非参考にしてみてはいかがでしょうか。

遺言の有無を確認する

不動産物件を所有する方の多くは、遺言書を作成している可能性が高いですが、急に亡くなるなどの場合には用意できていないこともあります。また遺言書の保管場所を家族の誰も知らないなどのトラブルも多いです。また最近流行りのエンディングノートなどもありますが、不動産に関する内容は遺言書で残した方が法律的にも効果的です。相続登記をする場合は、まず遺言の有無を確認しましょう。

登記事項証明書を取得する


登記事項証明書を取得して、所有者の確認を行います。この文書は1通につき600円から700円くらいで取り寄せることができます。相続登記をする前に、現段階での対象物件の様子を書類で判断します。登記簿は相続登記が終わった後にも取り寄せを行い、しっかり手続きが完了しているのかを調べます。普段あまり目にする機会がない登記簿ですが、相続などの重要な手続きには欠かせない書類の一つとなっています。

相続登記に必要な書類を集める

相続登記には数多くの書類が必要です。被相続人の戸籍謄本と被相続人の除籍謄本、被相続人の改製原戸籍と相続人の戸籍謄本を取得します。更に相続人の住民票と固定資産評価証明書、相続関係説明図を用意して申告しなければいけません。本籍地と住まいが別の場合、本籍地の市区町村役場まで行って、戸籍関連の必要書類を取り寄せる必要があります。スケジュールには余裕をもって行動しましょう。

申告書類の作成

取り寄せる書類だけではなく、作成しなければいけない書類もあります。遺産分割で決まった内容を記載する遺産分割協議書や、家系図のようにして故人と相続をする人物の関係性を表す相続関係説明図などの書類は、早めに用意をして完成させた方が安心で、想像以上に時間が掛かることも考えられます。

法務局に申請する

全ての書類を用意して、やっと法務局で相続登記の手続きができます。この時には、相続人本人による相続登記申請を行う必要があり、代理の家族などが済ませておくようなことはできません。また書類に不備がありますと二度手間になって再度法務局へ足を運ぶことになります。書類内容などを事前に良く確かめてから出掛けましょう。

相続登記申請方法

相続登記の申請にはどのような方法があるのでしょうか。これから実際に行う予定がある方にとっては、とても参考になる話となるはずです。是非今後に活用させてみるのがおすすめです。

直接持っていく

相続登記をする場合に一番多いのが、直接法務局へ持参する方法です。法務局で収入印紙を貼り付けて提出することになりますが、確実性が高く自分で申告手続きをしたことを実感できます。しかし平日にしか手続きできないほか、夕方には閉まってしまうので限られた時間にしか足を運べない不便さがあるかもしれません。

郵送による申請


平日は仕事などで忙しい方は、郵送で相続登記をすることもできます。自分の家あての返送用封筒と、 郵便切手を一緒に入れて郵送するのが決まりで、時間を短縮して相続登記をすることができます。しかし確実性が得られない点や少しでも急いで申請したい場合には、郵送ではなく持参する方法で行った方が良いでしょう。

提出前には書類内容の確認をする

持参する場合でも郵送する場合でも同じですが、書類の不備や添付書類の漏れなどがありますと、再度申告する手間が増えてしまいます。せっかく完成させた相続登記の書類ですので、提出時に記入漏れなどがないことを再三確認した方が安心です。

相続登記に負担を感じた時の対策

相続登記は専門家に任せることもできますが、少しだけ家族や親族の協力を得ることでスムーズン進められます。例えば必要な戸籍関係の書類を取り寄せる係をつくる他、記入が多いものを一括して任せる担当者をつくるなど、それぞれ分担することもできます。自力では難しいからと言ってすぐに専門家に依頼するのではなく、家族の年齢によってはチームワークを良くして皆で取り組むのもまた良い思い出になるかもしれません。

相続登記は必ず行おう

いかがでしたか。いつでもできる手続きだから急ぐことはない…と思われる相続登記ですが、早めに行っておいた方が売却や賃貸契約など、次の段階に話を進ませる際にも便利です。相続登記をしていない不動産物件を所有している方は、現在のままでは万が一の時に何か大きな問題が発生してしまう可能性もあります。自分に何かあった時に遺された家族にスムーズに相続を行ってほしいと考える方は早めに行動を開始してみてはいかがでしょうか。