遺産相続や財産分与のイメージは、家族や親族が争うことが多い印象です。しかし少しの工夫や話の進め方によっては、スムーズに解決することもあります。今回紹介する代償分割とはどのようなものなのでしょう。その方法を知っておくと共に、発生する税金についても理解しておきますと、安心して取り組むことができます。是非参考にしてみてはいかがでしょうか。

目次

代償分割とは


亡くなった家族が沢山の財産を所有していた場合、その財産を家族や親族で分け合う必要があります。代償分割とはどのような内容の遺産相続なのでしょう。

遺産分割の中の1つ

遺産分割は3つの方に分類されていて、現物分割と代償分割、更に換価分割があります。3つに分類された遺産分割ですが、基本的には誰もが奪い合いや争いをして欲しいと思って財産を残すわけではありません。現金分割や換価分割ができなときに採用されることが多い代償分割は、何も手にできないという不満を解消することに繋がります。

遺産の代償金を支払う

代償分割は、換価分割ができないときなどに採用されることが多い遺産分割で、相応の金銭などを提供する方法として知られています。仮に一つの土地を兄弟で奪い合うなどの争いを回避するために、土地を受け継ぐ人と代償分割で現金などを手に入れる方に分類されます。形が欲しい人と現金の方が良い人に分かれる遺産の分割は、それぞれの意見を聞いてうまくまとめるのが成功への近道です。

代償分割は遺産相続の争いをなくせる?

代償分割のような制度がありますと、遺産相続で家族や親族がケンカをすることがなくなるような気がしますが、実際にはまだこの方法が認知されていないこともあり、どうして相続争いは回避できないようです。しかし事前に相続についての知識を増やしておきますと、いざという時に役立てることができます。

代償分割の方法

遺産分割が3つに分類されているうちの一つである代償分割は、実際にはどのようにして進められるのでしょう。

遺産分割協議書を記入する

遺産分割協議書は、遺産分割の話し合いで決まった項目を記載する重要な書類です。相続に関する様々な手続きなどでも必要となることが多く、相続人が内容に一致していることを証明するものとなりますので、仮に代走分割をする場合でも、すべての相続人が合意していることの証明書として、きちんと代償分割のことを記載する必要があります。

現金以外も代償金にできる


代償分割をする場合、不動産や株など金銭以外の資産も代償金にすることができますので、その家族に合わせた柔軟な遺産分割ができます。遺産相続は自分の意見をしっかり言うことも大事ですが、要望を全て受け入れてもらえるとは限りません。慎重な話し合いをするためには、常に冷静な判断ができるようにゆとりをもって受け入れることが大事です。

代償分割を取り入れるのはどんなケース?

代償分割を行う場合は、どんな理由から行うのでしょう。多くは相続争いを回避する目的が多いですが、中には争っていないにもかかわらず代償分割をする場合があります。初めから平等に分割することを望む遺書を残して亡くなる方もいて、家族や親族の性格などによってはその方が平和に話を進められることも多いようです。

代償分割で発生する税金

ここでは代償分割と税金についての紹介です。代償分割を行いますと、様々な種類の税金を納める必要があります。良く確認をしておいて、納税漏れが無いように注意しましょう。

相続税が発生する

代償分割を行いますと、相続税を支払う義務が発生します。しかし、代償金などをもらった側と支払う側とで異なった相続税の支払いがあります。それぞれに通知が届いて期限までに納税する通達が届きますので、忘れずに準備をしておくのがおすすめです。

贈与税が発生する

代償分割をした場合、遺産分割協議書に代償分割であることの記載がない場合に贈与税が発生します。遺産分割協議書は、相続人全てが内容に合致して作成する大切な書類ですので、記入のミスや故意による偽造などは許されません。何度も内容確認をしながら作成しましょう。

所得税が発生する

代償分割を行って所得税が発生するのは、取得後についてです。代償分割で渡した不動産や株で収入があった場合には、譲渡所得が課税されますので所得税を納める必要があります。せっかく得た収入に対して税金を支払う費用に使うのは、正直気が進まないかもしれません。しかしそのまま放置しておくのは法律違反ですので、利益が出た場合には所得税を納める覚悟をして財産の管理をしましょう。

代償分割での注意点

代償分割は周りに行った経験を持つ方が少ない財産分与の方法ですので、周囲に相談することも難しいでしょう。一体どのようなことに気を付けると良いのでしょう。

生前贈与でも贈与税がかかる

代償分割は生前贈与の際にも活用できる遺産の分割方法です。しかし生前贈与でも贈与税が掛かる代償分割は、税金対策で取り入れた場合には有効でないかもしれません。しかし税金対策での節税以上に効果が実感できるような話し合いができる場合が多く、財産が多い方の負担を軽くする手段でもあります。

過剰な相続財産でも贈与税がかかる

代償分割は、少ない金額の財産に限らず過剰な相続財産でも贈与税が掛かります。相続をする金額が多い分だけ、当然ですが支払う税金も多くなります。手元に残す金額を少しでも増やそうと試行錯誤をする方も多いですが、大事にしていた財産によって家族や親族が争うことにもなり兼ねませんので、多額な現金や不動産などとは上手に付き合うことが大事です。

家族や親族とよく話し合いをして進める


普段は大人しい人でも急に荒々しく欲深い一面を出すのが遺産相続です。ドラマや映画でしかないようなイメージもありますが、実際にはそれ以上に争いや奪い合いなどの相談が専門家である弁護士などに寄せられています。大人同士のケンカになりますと、関係が回復するのは難しく、ますます悪化してしまうことも多いでしょう。冷静に話ができるように、話のまとめ役が一人いると円滑に進みます。

代償分割と生命保険

ここでは、代償分割と生命保険の関係について紹介します。生命保険も立派な財産の一つであり、数多くの保険を貯金感覚で使用している方も多いです。代償分割にはどのように生命保険が関わってくるのでしょう。

遺産分割の対象にならない

代償分割をする場合、生命保険は遺産分割の対象にはなりません。現金だけでなく、不動産や株券などは代償分割をする場合にも代償金として使われますが、生命保険は除外されますので覚えておきましょう。

計画的に生命保険の加入を検討する

最近では低額な料金で利用できる保険や、インターネットで簡単に申し込みできる保険商品が増えています。しかし何でも簡単に申し込みをしてしまうのも問題で、内容をよく確認して十分納得してから契約する必要があります。いざ保険を活用しようと思っても役立たないようなことも多く、無駄に保険料を納めてしまうことになります。

生命保険は定期的な見直しが大事

生命保険は保険料が引き落としやクレジットカード決済であることが多く、内容を何年も見直ししないままでいるケースが多くあります。生活スタイルの変化などによっては、ほかの保障と重ねて保険料を支払っているなどの無駄が見つけられる見直しは、定期的にな用を確認する習慣を身につけた方が良いでしょう。

遺産分割を円満に終わらせるコツ

どこの家族や親族も全て言い争いをして遺産のことを話ししているわけではありません。ではどのようにすることで、遺産の話を円満に終わらせることができるのでしょう。

生前から財産の話に触れておく

生きている時から将来の遺産相続の話をするのは不謹慎なのでは?と思ってしまいます。しかし生前から持ち主である親などがどのような考えでいるのかを知っておくことも大事で、ただ遺言書で告げられるよりも分かりやすいはずです。特に多くの財産がある場合には、現金だけでなく不動産物件なども沢山あることを考えますと、亡くなって急に皆で分割することが正解であるのかもわかりません。生前贈与も含めた真剣な話し合いを設けるのも、万が一のことが起きてから遺された家族が揉めてしまうよりははるかに良いでしょう。

様々なセミナーや講演会に参加する

最近では終活などという言葉が流行している通り、自分の死について早い段階から真剣に向き合うことをすすめるようなイベントも多数開催されています。死ぬことを考えるというと暗いイメージですが、早く準備をして環境を整えておいた方が、安心して老後を過ごせるという前向きな考えから流行しているようです。その一つには遺産に関する話も聞けますので、今まで自分では考えたこともなかったようなアイデアをもらえる可能性も十分です。

多少の争いは仕方がないと諦める

どうしても自分が少しでも多くもらいたいと考えてしまいがちな遺産相続で、誰もが楽をしてお金を手に入れられるのであれば、その方が良いと考えて遺産相続での争いに発展します。全く争うこともなく終わる家族もあるようですが、多少のケンカは仕方がいと諦めて良く双方の話を聞くのも一つの方法です。感情的になってしまいますと、どうしても話が進みませんが、冷静になった時に落ち着いて話をすれば意見が合致する時もあるかもしれません。

課税のない円満な遺産相続を行おう

いかがでしたか。遺産分割には様々な方法が存在していて、なるべくケンカや争いを回避して話を進められるようになっています。代償分割はあまり知られた方法ではありませんが、少しでも遺産による争いを回避して多くに人が納得をした状態で話が進められる手段として有効です。代償分割に興味がある方は、万が一のことが起こる前に詳しく調べて今後に活用させてみてはいかがでしょうか。