少子高齢化が問題になってから久しくなりますが、年金に不安を抱いている方は少なくありません。将来本当に年金がもらえるのか、年金だけで生活していけるのかなど悩んでいる方もいるのではないでしょうか?そもそも、年金制度自体が分かり難いことが不安を増幅させている原因の一つですので、年金制度についてよく把握しておくことが大切です。

そこで今回は、年金の仕組みや受け取るための条件、年金だけで生活できるのかなど、不安を解消するために知っておくべきことを紹介していきます。

目次

年金で生活するために知っておくべきこと


将来年金がどれだけもらえるのか、減額されるのではないだろうかと年金に対する不安は尽きません。しかし、不安に思っているだけでは解決しませんので、概ねの金額や支給開始年齢などを把握しておくと生活設計もしやすくなります。現在では、現役の年金加入者を対象に「ねんきん定期便」が送付されています。これは、毎年1回誕生月に送付され、50歳以下の方は加入実績に応じた年金額、50歳以上の方は続けて加入すると仮定した場合の支給見込み額が記載されています。その他には、年金加入期間や保険料納付額、国民年金と厚生年金の加入歴などが記載されており、自分の年金について詳細に知ることができますのでよく確認しておくことが大切です。資産に余裕がある方は別ですが、年金の支給額は現役時代の収入よりも少なくなるのが一般的ですので、年金で生活するには今までの生活レベルをどのように支給額に見合った生活にシフトしていくのかを検討する必要が出てきます。

国民年金のしくみ

年金制度は、日本国内に住んでいる方は全員加入することが義務づけられています。年金の柱となるのが国民年金で、20~60歳までの全ての方が加入する公的年金制度です。基本的には、40年間国民年金保険料を支払い続けることになり、加入月数によって支給額が変わっていき、収入額が一定の基準に満たない場合や学生などは保険料の免除制度が設けられています。その場合は支給額が減額になりますが、未納となっている部分がある場合は一定期間に限り追納することで支給額を増やすことも可能です。国民年金は、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の3種類の年金が支給され、被保険者は第1号・第2号・第3号の3種類あり、それぞれ保険料の納付の仕方に違いがあり、保険料の額や支給額は毎年見直しがされます。

厚生年金のしくみ

国民年金に加えて、もう一つの公的年金として挙げられるのが厚生年金です。国民年金が日本国内に住んでいる20歳以上の方なら誰もが加入義務があるのに対して、厚生年金は主に会社員や公務員といったサラリーマンが加入する年金です。厚生年金は、70歳未満のサラリーマンの方が被保険者となり、パートやアルバイトでも労働時間と労働日数によって加入することになっています。公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建てになっており、サラリーマンの場合は国民年金にも加入していることになりますので、毎月の給与から両方の保険料を天引きされています。また、厚生年金の被保険者に扶養されている配偶者の場合は、国民年金に加入していることになりますが、保険料は厚生年金の被保険者が支払っていますので、現状では支払わなくても良いことになっています。厚生年金の保険料は個人個人の給与の額によって違いがあり、支給額は支払った保険料や加入月数などによって計算されます。厚生年金にも、老齢厚生年金。障害厚生年金・遺族厚生年金の3種類あり、一定の要件をクリアした場合に支給されるようになっています。

公的年金を受け取るために必要な条件

では、公的年金を受け取るためにはどんな条件が必要なのでしょうか。国民年金の場合は、保険料を納めた期間と免除された期間をプラスした期間が10年(120月)以上であることが主な条件で、未納期間は年金額の計算対象となりません。厚生年金の場合は、65歳になった時点で老齢基礎年金を受け取る条件を満たしている時に老齢基礎年金に上乗せされて支給されます。ただし、60歳以上で老齢基礎年金の資格期間を満たし、厚生年金の被保険者期間が1年以上ある場合は、老齢厚生年金が特別に支給されることになっています。

貰える年金額の目安の計算法


年金だけで生活を計画している場合に、一番知っておかなくてはならないのが支給額です。国民年金の支給額の計算方法は、保険料の納付月数、全額免除又は半額免除を受けた月数などから計算されますが、保険料を全額免除された期間の年金額については2分の1、平成21年3月分までは3分の1が支給されるようになっています。ただし、保険料の免除期間は加入期間と見なされ支給額を計算する際に対象となりますが、未納期間は計算の対象となりませんので、年金額を増やしたい場合はできるだけ未納期間を無くすことが必要です。

厚生年金に関しては、報酬比例部分と定額部分がプラスされた金額が支給額となりますが、国民年金も厚生年金も生年月日によって計算方法に違いがありますので、疑問点などがあった場合は年金事務所などに問い合わせてみましょう。

年金で生活する前に考えておくべきこと

現在の年金制度では、年々支給額が減っているという現状があります。また、現役時代とは格段に収入が減ってしまいますので、年金だけで生活ができるのかどうか不安もあるでしょう。50代以上では、人生の様々なイベントが一段落して老後資金を蓄えることが可能となる時期で、生活もコンパクトにして行くこともできるなど、今からできることは意外に多いかもしれません。では、支給される年金だけで生活するにはどんなことを考えておくべきなのでしょうか?詳しく紹介していきます。

老後に必要な生活費の目安

現在では、65歳まで働くことは珍しくないこととなっています。老後は65歳以降と考えて良いと言えそうですが、年金だけで生活を考えているなら必要な生活費の目安をしっかりと計算しておくことはマストです。おおよその公共料金の額や住宅ローンなどがある場合は完済時期、無い場合でもリフォームなどの費用は必要になりますので、そういった生活する上で必要最小限の生活費の目安を把握しておくことで今後の道筋も見えてきます。生活費の目安を計算する際には、年齢を重ねるごとに医療費がかさみがちになることを忘れないようにすることがポイントです。

貰える年金で足りるかどうか

生活費の目安が分かったら、貰える年金の額を知ることが必要となります。現在では、日本年金機構から1年に1回年自分の年金の状況についての文書が届くことになっていますので、年金のおおよその額が分かります。支給額が分かったら、目安になる生活費に照らし合わせて足りるかどうかを検討し、足りない場合は個人年金に加入したり貯蓄に力を入れるなど、どんな手立てがあるのか考えておきましょう。

年金の受け取り方や受給時期を考える

現在の公的年金は、基本的に65歳になれば受け取ることができるようになっています。しかし、希望すれば60歳から受けとれることも可能で、これを繰上げ受給と言い月単位で請求ができます。ただし、繰上げ月数によって支給額が減額され、一度請求すると一生変更ができないようになっていますので注意が必要です。その一方で、繰下げ受給も可能となっており、こちらも月単位で繰下げることが可能で、請求月によって増額されるようになっています。年金の貰い方や受給時期は、自分の健康状態を考えて検討することが大切で、老後の生活を計画する上では重要なことですのでしっかりと検討して決めましょう。

年金生活で困らないために

年金生活は悠々自適のイメージがありますが、現在支給されている年金額では一概にそうとは言えない場合が少なくありません。受取れる年金の額は決まっており、生活費や交際費がコンパクトになる分、医療費などが増加することも考えられますので、不足分があった場合は現役時代にできることをやっておくことが重要です。年金生活を豊かにするためには、どんなことに目を向けたらよいのか紹介します。

きちんと家計の計画を立てる

現役時代に、一生懸命働いたから老後は趣味や旅行を楽しみたいと思っている方も多いはず。しかし、老後は年金で生活をと考えているなら、家計の計画をきちんと立てることは重要なポイントです。

サラリーマンの場合は、退職金が出る場合もありますので、年金と合わせて家計の計画を立てることが可能となります。しかし、退職金が出ないという場合もありますので、できるだけ貯えを増やしておくことが必要でしょう。また、年金だけで足りない場合は、年金にプラスして貯蓄を切り崩すことになりますので、貯蓄はどれぐらい必要なのかを明確に計算しておくことも必要となります。

節約できることはする


年金生活に入ったら、節約できることはするのは言うまでもありません。収入額が決まっているのですから、それに合わせて生活することが重要となります。とはいえ、やりたいことを我慢するのはストレスが溜まりますので、我慢ばかりでなくできる範囲で楽しむことも必要です。考え方一つで、お金を使わずに生活することは可能ですので、楽しく節約に励みましょう。

可能ならできるだけ長く働く

年金生活をより豊かにするには、可能な限り長く働くことがおすすめです。自分の健康を考えながらできる範囲で働けば、規則正しい生活ができますし何よりも生活に張りが出ますので、健康維持にも一役買ってくれます。経済的にも余裕ができますので、働いて収入を得ることで年金生活でも様々な可能性が広がります。

年金を受給してからも安定した生活にしよう

いかがでしたか?現在の年金制度では、受給額が年々減少して行くことが予想されますので、年金だけで生活することはなかなか難しいことかもしれません。しかし、現役時代にしっかりと老後の生活設計をしておくことで、年金だけでも豊かな生活を送ることは不可能ではありませんので、年金を受給してからも安定した生活にしましょう。経済的なことに加え、健康年齢を意識して生活することが年金生活には必要不可欠です。