年金の種類が多く区別を付けることが難しいですが、その中でも寡婦年金の場合には、文字と内容が一致させやすく理解しやすいでしょう。今回紹介する寡婦年金の受給条件は、知っておいて損がない内容です。年金をもらう世代ではない若い方も、是非参考にしてみてはいかがでしょうか。

目次

寡婦年金の受給要件


寡婦年金を受給するためには、受給要件を満たしていることが求められます。一体どのようなことが、寡婦年金の受給要件なのでしょうか。

夫が国民年金を納付25年以上年金受給せず死亡した場合

寡婦年金の受給要件はいくつかありますが、夫が国民年金を25年以上受給せずに死亡した場合が該当しますので、寡婦年金が受給できます。

夫が死亡した時妻が65歳未満

また夫が亡くなった時の妻の年齢も関係します。夫が死亡した時に妻が65歳未満の場合には寡婦年金を受給できますが、妻が既に65歳以上の場合には寡婦年金は受給できません。

遺族基礎年金か死亡一時金か寡婦年金のいずれかの受給

また年金を同時に受給することもできません。遺族基礎年金の場合と死亡一時金の場合、そして寡婦年金を同時に受給することができませんので、いずれの受給かを選択することが求められます。受給者が亡くなったことで家族を支援する年金は沢山ありますが、それら全ての恩恵を同時に受けることができません。

18歳未満の子供のいない妻

寡婦年金は妻の年齢だけでなく、子供の年齢も受給要件に関わります。寡婦年金を受給できるのは18歳未満の子供がいない妻で、他の要件が合致していても仮に18歳未満の子供がいる場合には、寡婦年金を受給することはできません。

10年以上婚姻関係にあった妻

寡婦年金には様々な受給要件が設けられていますが、婚姻関係が続いていた期間も関係します。寡婦年金の受給要件に関わるのは、10年以上婚姻関係にあった妻で、その他の法権を満たしている場合であっても、婚姻関係機関が短いなど要件に満たない場合には各返金は受給できません。

寡婦年金と遺族年金

普段の生活ではあまり関わることがない寡婦年金ですが、ここでは寡婦年金と遺族年金の関係について紹介します。どちらも受給者本人が亡くなった時に家族をサポートする年金ですが、受給するためには要件をクリアする必要があります。一体どのような仕組みになっているのでしょうか。

年金は一つしか貰えない

寡婦年金と遺族年金は、受給者本人が亡くなったことで残された家族に支援が継続される年金ですが、両方同時に受給してもらうことはできません。どちらも遺族を支える立場の年金で、その後の生活に大きく関わります。しかしどちらの年金も同時に受け取ることはできませんので覚えておきましょう。

寡婦年金は離婚していても受給できるか


寡婦年金の受給要件に10年以上の婚姻関係が求められていますが、離婚をしておる夫婦の場合にはどのようになるのでしょう。寡婦とは、夫と死別や離婚をした後に婚姻をしていない人を指します。また夫の生死が明らかでない人で扶養親族がいる人や、生計を共にする子がいる人です。 この場合の子とは、年間所得が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。また夫と死別した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない人で、受給者本人の所得金額が500万円以下の人を指します。つまり、再婚をしていなければ寡婦の状態のままですので、寡婦年金を受け取ることができます。

寡婦年金受給手続き方法

寡婦年金の受給手続きには、年金請求書を記載して提出する必要があります。その他には、年金手帳や戸籍謄本、住民票や死亡した方の住民票の除票、収入が確定できる書類や年金証書などを用意しましょう。また死亡の原因によっては、その他の書類の提示を求められることがありますので、良く確認することをおすすめします。寡婦年金の手続きは、市区町村役場や年金事務所で対応しています。

遺族年金受給手続き方法

遺族年金の受給手続きは、まず年金を受けている方が亡くなると、年金を受ける権利がなくなるため、年金受給権者死亡届(報告書)の提出が必要になります。なお、日本年金機構に個人番号のマイナンバーが収録されている方は、原則として、年金受給権者死亡届(報告書)を省略できます。また、年金を受けている方が亡くなったときに、まだ受け取っていない年金や亡くなった日より後に振込みされた年金のうち、亡くなった月分までの年金については、未支給年金としてその方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。年金事務所で遺族年金受給の手続きをしますが、亡くなってから時間を経過させることなく、素早く対応するのが理想です。

死亡一時金手続き方法

死亡一時金の手続きは、請求書に必要事項を記載して提出します。その際には、亡くなった人の年金手帳や戸籍謄本、亡くなった方の住民票の除票や請求者の住民票、受取先金融機関の通帳や印鑑が必要です。提出先は市区町村役場での対応のほかに、年金事務所でも手続きできます。

年金制度はいずれか一つしか貰えない

受給者本人が亡くなったことで、その家族を支援する年金は沢山ありますが、全てを同時に受給できないということが良く分かりました。しかし死別する際にも急な不幸であることも考えますと、寡婦年金など以外にももしもに備えておくことは重要です。年金受給者である夫にもしものことがあった場合を想定して、どのような準備や心構えをしておくと良いのでしょうか。

生命保険の加入

もしもに備えるもの代表として多く取り入れているのが生命保険です。あまり高額な保険料の商品に加入をしても、生活費を圧迫して保険料を納めることになります。無理のない範囲で加入できる保険がおすすめで、現在は様々な商品がありますので自分が望むプランを見つけて、保険代理店などで相談すると良いでしょう。

専業主婦の方はいつでも働ける準備をする

配偶者の収入のみで生活していた専業主婦の場合には、多少の支援が受けられるとしても、それだけで今後生活をして行くことは難しいでしょう。特に子供がいる場合には、学費や食費などに費用が掛かりますので、国からの支援だけでは限界があります。短時間のパートでも十分なので、もしもの時にはいつでも仕事ができる体制を整えておきましょう。

既に働いている方はキャリアアップすることも考える

現在既にパート勤務などで働いている方は、配偶者が亡くなったことで一家の大黒柱を失うことになります。当然国からの支援が多数受けられますが、現在の収入のままでは生活が苦しい可能性もあります。その場合には、パート勤務から正社員として就業できる場所を探して転職することも視野に入れることも大事です。または今の勤務先で正社員として雇用してもらうことを交渉するなど、様々な働き方が考えられます。

短時間にパートを掛け持ちする


現在は一つの勤務先で長く働くことにこだわらず、短時間の仕事を掛け持ちして働く方も珍しくありません。このような働き方は、深夜や早朝などのあまり働く人がいない時間帯を狙って、集中的に仕事ができるのが大きなメリットで、しっかり稼ぎたい方に最適です。特にシングルマザーの家庭では、長時間留守にすることを避けるためにも、時間帯によって働く場所を変える働き方を選択する方もいます。

子供がいる場合にはよく話し合って決断をする

夫が亡くなったことだけでも大きな変化ですが、更に母親の仕事が忙しくなってしまいますと、子供はパニックになります。子供の年齢にもよりますが、どのような選択をするのがよいのか、一緒に話し合って決めることも大事です。寡婦年金などに頼るのではなく、自力で生活することもシミュレーションしておくと良いでしょう。

寡婦年金は非課税?

寡婦年金を受給する時には、税金のことはどのように考えると良いのでしょうか。寡婦年金など遺族が受け取る年金は非課税であるとされていますが、実際にはどのようになっているのでしょうか。寡婦年金を受け取る時のポイントと合わせて紹介します。

遺族が受け取る年金は非課税ってホント?

寡婦年金を始め遺族基礎年金や死亡一時金などは全て非課税で、税金に関する心配をする必要がありません。これは他の年金は課税対象であることからあまり知られていませんが、遺族が受け取る年金は非課税となります。

寡婦年金って確定申告は必要?

寡婦年金を受給している場合、確定申告は必要なのでしょうか。しかし寡婦年金など遺族に関する年金は非課税なので、寡婦年金だけで他の所得がなければ確定申告は必要ありません。仮に、その他の所得などで確定申告が必要な場合でも、寡婦年金については非課税なので申告する必要はありません。

寡夫控除って何?

妻と死別または離婚した人で、諸々の要件を満たしますと寡夫控除が受けられます。これは所得控除のひとつで、適用されますと税の負担が軽くなります。つまり寡夫とは寡婦とは違う意味で使用されていて、離婚や死別によって負担が増えている夫側にケアをする控除です。死別では仕方がありませんが、妻側は子供を引き取るとは限らなくなっている現代では、仕事をしながら家事や子育てをするシングルファーザーも増えています。そのような方々を支援するのが寡夫控除になります。同じ寡婦という言葉でも男性と女性では異なりますので、違いを良く把握しておきましょう。

まとめ

いかがでしたか。今まで寡婦年金という言葉を知らなかった方や、読み方が分からなかった方にとっては、とても参考になる内容だったのではないでしょうか。寡婦年金は配偶者が亡くなるという不幸の時を陰からサポートする役割があり、生活の基盤が構築されるまで心強い存在となります。寡婦年金にばかり頼る姿勢は好ましくありませんが、もしもの備えがある安心感は大きいでしょう。是非今後に活用してみてはいかがでしょうか。