しっかりと保険料を納めたことで入金される年金は、支給されるポイントを押さえておくことが大切です。今回紹介する公的年金の種類や年金支給のポイントを理解しておきますと、今後年金を受け取る立場になった時に大変役立ちます。是非参考にしてみてはいかがでしょうか。
目次
主な公的年金の種類
公的年金にはいくつかの種類があります。亡くなった時やケガをした時など、年金の保障によって大きく支えられる部分も多いようです。では実際にはどのような内容で構成されているのでしょう。
基本は65歳からの老齢年金
年金の受給時期となる65歳からは、老齢年金が支給されます。20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた方は、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。保険料を全額免除された期間の年金額は半分となりますが、保険料の未納期間は年金額の計算の対象期間になりません。ちなみに平成29年4月分からの年金額は、779,300円で、この金額が満額となります。老齢基礎年金を受けるためには、保険料を納めた期間や保険料を免除された期間と合算対象期間とを通算した期間が10年間以上あることが必要です。
死亡の際の遺族基礎年金
遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金で構成されています。遺族基礎年金は、被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡した時に支給されます。ただし死亡した者について、保険料納付済期間が加入期間の3分の2以上あることが求められます。支給の対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた子のある配偶者または子となります。ちなみに子とは、18歳到達年度の末日である3月31日を経過していない子で、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級であることが条件です。支給される年金額は、779,300円に加えて子の加算となります。子の加算は第1子と第2子がそれぞれ224,300円で、第3子以降がそれぞれ74,800円ずつ支給されます。
死亡の際の遺族厚生年金
一方の遺族厚生年金は、被保険者が死亡した時や、被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡した時に支給されます。ただし遺族基礎年金と同様で、死亡した者について保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上あることが条件となっています。その他、老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡した時や、1級また2級の障害厚生共済年金を受けられる者が死亡した時にも支給されます。支給される対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた妻や子、18歳到達年度の年度末を経過していない者や20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の孫がいる場合にも支給されます。更には、55歳以上の夫や父母、祖父母も該当します。しかし支給開始は60歳からですが、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できるという特徴があります。また30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となりますので覚えておきましょう。更には、子のある配偶者や18歳到達年度の年度末を経過していない者や20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者である子は、遺族基礎年金も併せて受けられます。
病気やケガの際の障害年金
障害年金には様々な種類がありますが、障害基礎年金や障害厚生年金だけでなく、特別障害給付金もあります。国民年金に加入している間に、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日があることは条件となる障害基礎年金は、初診日から1年6か月を経過した日や20歳に達した日に障害の状態にあるか、または65歳に達する日の前日までの間に障害の状態となった場合に支給されます。障害厚生年金は、厚生年金加入時に障害を負った場合に支給される年金です。また特別障害給付金は、国民年金に任意加入していなかったことによって、障害基礎年金などを受給していない障害者の方について、福祉的措置として特別障害給付金制度が設けられました。
上乗せされる厚生年金
厚生年金基金制度は、国が行う老齢厚生年金の一部である報酬比例部分の支給を代行して、これにプラスアルファ部分を上乗せして年金給付を行う仕組みを構築しています。厚生年金基金や企業年金連合会は、国が行う老齢厚生年金の報酬比例部分の支払いのうち、基金加入員期間にかかる部分の年金給付を、国に代わっておこなっています。代行部分の給付に必要な費用として基金が預かる保険料を免除保険料と言い、基金に加入している事業所は厚生年金保険料の一部について国に納めることが免除されています。ちなみに基金に加入している事業所は、厚生年金保険料のうち、免除保険料を除いた額を国に納めていて、基金には免除保険料とプラスアルファ部分にかかる掛金を納めます。
年金支給のポイント
公的年金に関する細かな内容が理解できた後は、年金支給のポイントについて紹介します。年金が支給されるためには、現役世代の時にしっかり保険料を納めておくことが重要でしょう。一体どのようなことに注目して、年金支給を受けるのが良いのでしょう。
公的年金の支給日は一律
老齢年金と遺族年金、障害年金から構成される公的年金は、全て共通して同じ支給日となっています。毎年偶数月の2月と4月、6月と8月、10月と12月が支給される月となります。また日にちも共通していて、15日が支給日となっています。しかし15日が土曜日や日曜日の場合には銀行窓口などが空いていませんので、前倒しされて入金されることが多いでしょう。当日は金融機関が大変混雑しますので、時間に余裕を持って足を運びましょう。
国民年金支給の平均額
では年金が支給される金額の平均はどのようになっているのでしょう。国民年金は40年間保険料を納めることで支給される年金ですが、1か月分の平均は6万円前後とされています。しかしこの数字はあくまで平均で、多い方も少ない方もいます。実際に入金される時には2か月分まとめて入金されることから、入金される時の金額の平均は12万円前後になります。
年金の繰り上げや繰り下げ
年金は繰り上げや繰り下げができることを知っているでしょうか。繰り上げとは、支給される実際の年齢よりも先に受給者となるシステムです。一方の繰り下げはその反対で、年金受給者となる年齢になっても年金を受け取る受給者とならず先延ばしする方法です。どちらを選択することでもメリットやデメリットがありますが、その方自身の年金への考えやライフプラン計画によっても大きく変わります。また無理に繰り下げや繰り上げをすることなく、基準通りに受給者となることも当然選択肢の一つです。今の自分に合った最適な方法を選ぶと良いでしょう。
自動的ではない年金受給
年金の受給は、ある一定の年齢に達した段階で自動的に入金されるわけではありません。自分で手続きを済ませて完了した段階から入金がスタートします。このことを知らない方が多く、いつまでも年金が入金されないことに疑問を持ってという合わせする方がいるようです。自分が該当する年齢が近づいてきた時には、早めに準備をして素早く手続きを済ませましょう。
手続きをしっかりして適正な年金額を受給しよう
年金は老後の生活を支える基盤となる大切な収入です。面倒な手続きを億劫に感じるのではなく、現役時代に頑張った自分からのご褒美を受け取る感覚で受給するのが理想です。しかしお金をもらえるからといって散財してよいのではなく、大切に使う習慣を身につけておくと良いでしょう。ここでは、年金の賢い使い方について紹介します。
我慢のしすぎは注意が必要です
年金を大切に使うことは大事ですが、あまり我慢を積み重ねてしまいますと、健康を害するようなストレスを抱えてしまいます。たとえば電気やガスを節約することも重要ですが、風邪を引くくらい寒くても暖房器具を使用しないなど、若い人にはできる我慢でも高齢者には限界があります。暖かい昼間の時間だけは使用を避けて、朝晩はしっかり暖かい室内環境を維持するなどの工夫が大事です。
食費は一番節約しやすい分野です
作るのが面倒なのでコンビニなどでお弁当を買って食べる高齢者も多いようですが、ご飯だけでも炊いておくなど、ほんのひと手間行うだけでも食費は節約できます。最近ではお総菜なども一人暮らし用や少人数家族分用に小分けのものが増えていて、沢山作って余らせるよりも、食べきる分量を少し買って過ごすなどの工夫がしやすくなっています。楽をすることは簡単ですが、限られた予算で生活する年金受給者は、食費の使い方にも気を配りましょう。
自分が楽しむ用のお小遣いも確保
楽しみや趣味は人それぞれですが、年金の中からわずかな金額でも良いので、自分が好きなことに好きなだけ使える資金を分けておくことをおすすめします。例えば釣りを趣味とする方の場合には、釣り道具を買う資金として使うことができます。また料理を趣味にしている方ですと、食費では買えない高級な食材を購入できる資金として分けておくなど、楽しみながら年金生活ができます。限られた金額しか入金されないことから、どうしても節約志向になりますが、我慢ばかりではなく楽しむ時間も大切です。
まとめ
いかがでしたか。年金支給には様々なポイントがあることが分かり、今後年金を受給する立場になった時や、現在受給している方にとっても、更に理解を深めることができるきっかけになったはずです。老後の生活に必要不可欠な年金は、手続きを正しくスムースに行って、きちんと受給されることが理想です。是非今後の生活に役立ててみてはいかがでしょうか。