住民税は個人や法人を問わずその地域に住む人が負担をすることになっている税金で、納付方法としては個人で納める普通徴収と事業所が代わりに納付をする特別徴収があります。この住民税は基本的に年金を受給している人にも掛かってきますが、年金を貰っている人と一口に言っても年金だけで生活をしている人もいますし、仕事をしている人もいるでしょう。今回は誰もが気になる年金受給者の住民税の徴収について、具体的に解説をしていきます。

目次

年金受給者の住民税の特別徴収について


個人で住民税を納付する場合は、年に4回自分で各市町村に税金を納めることになりますが、会社に属する場合は特別徴収と言って、事業所が給与から住民税を天引きして、会社がその預かった税金を毎月納付しています。年金受給者の場合も公的年金からのこうした特別徴収となっており、年金から住民税を引き落として納めるようになっています。今までは自分で各市町村の銀行や市役所などへ行って納付をする必要がありましたが、平成21年10月から年金からの引き落としが始まったことで、納税による手間も軽減されているのです。

個人の選択で徴収方法の変更はできない

これは地方税法第321条7の2にて、公的年金にかかる所得に係わる住民税は公的年金から特別徴収の方法で徴収するものとする、と定められています。このように年金を受け取っている全ての納税義務者が特別徴収を行う必要がありますので、原則として個人の希望で納付方法を変えることができません。

特別徴収方法は開始1年目と2年目で異なる

新しく特別徴収の対象となった初年度は、前半と後半で徴収方法が変わってきます。前半の6月と8月は年税額の1/4を普通徴収によって納付するのですが、後半となる10月からは年税額を10月と12月、2月の3回に分けて、今度は特別徴収にて残りの年税額を1/6ずつ納めます。そして、特別徴収に入った2年目は4月と6月、8月に前年度の年税額の1/6が仮徴収され、10月から本徴収として税額が引き落とされます。2年目の10月以降の税額は、当該年度の残り分を10月と12月、2月の3回に分け、それぞれ1/3納めます。このように特別徴収の対象に入っても、初年度と2年目とでは納め方や税額も大きく変わってくるのです。

特別徴収の対象者と特別徴収が停止になる場合


公的年金で引き落としとなる人は条件があり、4月1日の時点で65歳以上の年金受給者であること、公的年金を年間で18万円以上貰っている人、個人住民税の課税対象となっていること、この全てに当てはまる人が対象です。また、特別徴収になっていても引き落としが停止になるケースもあります。それは介護保険料を年金から引いていない、特別徴収をしている人が亡くなったなどの場合です。こういった理由で引き落としが行われなくなったら、納付書あるいは口座振替での普通徴収に切り替わります。普通徴収に完全に切り替わるまでには一定の期間を必要としますが、替わったとしても年金から特別徴収されてしまう可能性もあります。そのようなことが起こったとしても、差額分の税額はもちろん後から返ってきます。

住民税が特別徴収される税額とその通知について

住民税は年金受給者でも納付の義務があり、税額も納付の初年度と次年度とではまた変わってくるということが理解できたでしょう。では、特別徴収として実際に住民税が引き落とされる場合の税額はどのようになっているのか、次の項目で見ていきましょう。

所得割額と均等割額がある

住民税の納付方法としては所得割額と均等割額の2つがあります。所得割額は前年の所得額に応じて決められるもの、均等割額はこうした所得金額に関係なく定額で課税されているものです。税額は年金の所得に係る所得割額と均等割額を合わせることで、納付すべき税額が決まります。

公的年金以外の所得分の税額は免除される


年金受給をしている人の中には、今も働いて給料を貰っていたり積み立てていた個人年金による所得があったりする人、株や出資によって配当を受け取っている人などもいるでしょう。そういった公的年金以外にも所得のある場合は、その分の税額が省かれますので、特別徴収される税としては含まれない金額となります。

特別徴収額は送付により通知される

引き落とされるのは前年度の年金所得によって決まった住民税額です。特別徴収に掛かる税金額や引き落しの対象となる年金は、納税通知書に記載されています。この納税通知書は、毎月6月にそれぞれの市区町村から送られてきますので、そこで確かめることができます。

住民税は正しく理解した上で納付しよう

いかがでしたか?特別徴収は対象となって何年目になるかで徴収方法が変わってきたり、対象となっていてもある条件に該当すれば引き落としが中止される場合もあったりするなど、細かい決まりがあるため難しいと感じることもあるかもしれません。初めは分からなくても少しずつで構いませんので、正しい知識を身につけ理解できるよう努力しましょう。