多くのサラリーマンは、退職する際には退職金が支給されます。しかし、退職金は誰でも支給されるものではないことをご存知でしょうか?退職金は、退職金制度が無い会社では支払われることはありませんので、無い場合は何らかの対策を講じておくことが大切です。また、入社前に退職金についてしっかりと確認しておくことも重要で、後で慌てないためにも知識を高めておきましょう。今回は、支払われる時期や加入制度など、退職前に知っておきたいポイントを紹介します。
目次
退職金支払日について
退職金は、労働基準法に定められている制度ではなく、退職金制度を設けていなくても違法とはなりません。しかし、退職金制度を設けている場合は、就業規則に記載して請求に応じなくてはならなくなります。また、支払日については法律では定められておらず、各会社の退職金規定によります。一般的に退職金の支払い日は退職日以降ですが、退職金規定で定められている支払い日を延期することはできません。
会社や加入制度により異なる
退職金の支払いは、それぞれの会社によって異なり、退職金制度によっても違いがあります。支払日は法律で定められているものではありませんので、退職金の規定を設けている場合は、それに準じて支払われることになります。中小企業退職金共済の場合では、請求から4週間~2ヶ月程度かかり、場合によっては半年かかることもあります。平均では2ヶ月程とされ、会社によってかなりの差があります。また、退職金規定があるにもかかわらず支給されない場合は、定めらた期間に限り請求ができるようになっており、退職金の時効は5年となっています。
退職金額や事務担当者の業務に左右される
退職金の支払いは、退職金制度がある会社の場合は、一般的にその担当者が行なうことになります。また、外部機関へ請求する場合に加え退職金の額が大きい時は、更に手続きが複雑になりがちで、時間が掛かる場合も考えられますので、事務担当者の業務に左右されると言っても良いでしょう。
同じ会社でも退職時期により異なる
同じ会社でも、支払日は退職時期により異なることも考えられます。退職者が多くなる年度末や年末などは事務作業が重なり担当者が多忙になる時期ですので、支払いが遅くなる場合もあるでしょう。しかし、退職金の支払い日が就業規則などに明記されている場合は、決められた日に支給する決まりがあります。
退職前に知っておきたいポイント
退職金制度は、各会社によって様々な規定が設けられていますが、退職金制度を設けることは義務づけられているわけではありません。従って、退職金制度が無い場合は将来のために自分で何らかの手立てを講じておく必要があります。また、退職金制度を設けている場合は、その制度を履行するために法律によって様々な規定がありますので、退職前には重要なポイントを押さえて認識しておくことが必要です。退職前に知っておきたい主なポイントを紹介します。
就業規則は確認しておいた方が良い
退職金制度の有無は、入社前の説明会などにある程度把握することが可能です。退職金制度の有無自体は法律で定められていませんが、退職金制度が設けられている場合は、就業規則などに明記しなければならないと法律で定められていますので、制度の内容や規則をしっかりと確認しておいた方が良いでしょう。また、通常であれば退職時に説明があるのが一般的ですので、退職後の生活や老後の経済的な要となるものですので、生活困窮などが無いようにきちんと説明を聞いておくことが大切です。
退職金共済は倒産に左右されない
退職金制度があるからと言って、安心していられない場合も出てきます。業績悪化での事業縮小や倒産なども考えられますので、そのような場合の退職金の支払についても把握しておく必要があります。
退職金共済に関しては、会社が制度を利用して共済機構に毎月積立金を納付し、従業員が退職する際に退職金を支払う仕組みになっており、退職金の支払いは共済機構が行なうことになりますので、会社が倒産しても支払われます。会社の倒産には左右されない退職金制度で、減額もなく確実性が高く、長く勤務すればするほど増額率が上がっていきます。
退職金制度は減額されることもある
退職金制度を設けている場合でも、会社の業績が悪化し倒産した場合は、減額あるいは支給されないこともあります。退職金制度を設けており就業規則に明記されている場合は、法律的に倒産しても全額支払うことになっていますが、退職金の支払いは不可能な場合も少なくありませんので、支給されない時には労働基準監督署に相談してみましょう。退職金の支払いが無い場合は、一定の要件を満たせば労働基準監督署が立て替えてくれる制度がありますので、退職金に限らず給与の未払いなどがあった場合は条件などを確認しておくと良いでしょう。
就業規則を確認し計画的な人生設計をしよう
退職金の有無は、人生設計をする上では重要な鍵を握りますので、就業規則を十分に把握しておくことが重要です。また、退職金が無い場合でも、退職金が受取れる様々な制度がありますので、知識を深めておくことで将来の人生設計の幅も広がります。
退職金は、老後の生活の大切な資金となるものですので、しっかりと確認して計画的に人生設計を進めましょう。